デジタル絵描き(または単なるガジェット好き)にとって、至高のお絵かきタブレット探しというのは終わりなき「聖杯探し」みたいなものなわけですが……さて! iPad+Pencilの登場によってその旅もとうとう終わりを迎えるのか!? Apple Pencilが届いたので早速実用開始。
身内に「小武さんの日記は長文すぎて、恋人(くらいの熱意のある人)しか読めないよね!」と突っ込まれたばかりですが、今日も長文です。
まず、Cintitq Companion2(または1)と比べてどうなのか……
と言っておきながらCintiq Companionと比べるとかいうレベルでなく、これはそのまま紙です。
聖杯探しの旅、終わっちゃいました(早い。
終わってなかった。
詳細は次の記事に。
気が抜けるくらい、至高のタブレットだった。
まさかアップルからこのようなモノが出るとは……いや、アップルだから作れたのか。
とりあえず、どんな感じなのか写真で見てみよう。
Pencilが届く前、メモアプリで指で頑張って絵を描こうとした図。
この時「これはダメかもしれん……」という思いが頭をよぎる。
続いてPencilが届いたので、恐る恐る指で描いた絵の上からペンでなぞり始めた図。
……すごいぞ。
なんだこりゃ!? 正味、紙だ!そして、当たり前のように全画面領域で普通に描ける。
全画面に普通に入力できるので、リアルものさしで普通に線が引ける(けどやっぱり若干ゆがんでる)。
視差がない(ないと言って良いでしょう)のでiPad本体を回して普通に絵が描くことができる。
procreateの鉛筆で下書き
procreateのペンでペン入れ。
感触としてはClipStudioのペンの補完ゼロみたいな感じか。
ペンはある程度カスタマイズしないと使いにくいと思う。
メディバンも試してみましたが、色塗りにはいいと思うけど、キャンバスの表示品質とペンの挙動が好みじゃなかったので線画まではprocreateでやるといいかも。
リアルものさしがそのまま使えて、画面の端から端まで普通に線が引けるということがどんなに便利なことか、言うまでもない。
(が、やっぱりちょっと歪んでました)
まるで紙のようである、ということはどういうことかというと、ソフトの機能面において、
・本体を回転させても入力歪みがないので「キャンバスの回転機能」とかがいらない
・普通に定規が使えるので「定規機能」がなくても
困らない(注:それでも若干歪みがあることを後に発見したのでこれは撤回)
・普通に全面に紙に書くように字が書けるので「テキスト機能」がなくても困らない
……という感じで「今までのタブレットでは入力性能が及ばないところを補助するために、必須だった機能」がことごとく必要なくなる。
なので、iOS のアプリが「機能面で貧弱だ」ということがあるとしても気にならないし操作もシンプルになる。
「キャンバス回転機能」はワコム系デジタイザでは必須でかつ便利だったけど、くるくる回してるだけで「CPUパワーを食う=バッテリーを食う」だったわけで、こういった補助機能が必要なくなるというのはバッテリーを(ある程度は)食わなくなる、というモバイル系デバイスにとっては重要な進化(特化?退化?)でもあるかと思われる。
タッチ操作系統がさすがiOSなので、あらゆる面で快適で使いやすい。
タッチキーボードなんかも、正直 CintiqCompanionではかなり打ちにくく(ガラス厚視差とタッチ判別ロジックの問題かと思われる)、できればテキスト入力は避けちゃったりしてましたが、iPad Proでは「もっと打たせろ!」という感じです。
長時間、椅子に座って描いてたりして同じ姿勢でいることに疲れてくると、タブレットをちょっと抱えて描いてみたりしたくなるもんですが、CCでもたまに限界が来ると抱えて描いてたりはしてたものの、ちょっと重いのでそれもあまり長く続かない。
基本的に据え置きPC的な使い方になる。
しかし、iPadでは気軽にひょいと持ち上げられるし、抱えたままずっと描き続けられる(CCに比べれば)。
まとめると。
【iPad Pro+Pencilの良い点】
・とっつきやすい
・これは紙です
・とにかく軽い。
可搬性がむちゃくちゃ高い
・バッテリーすごい持つ
・その超性能の割にかなりお安い
・Windowsの呪縛から逃れられる
・もちろんお絵かきタブとしてだけでなく、ネットブラウジング、メール、書類/漫画閲覧、地図ナビ装置としても言うまでもなく優秀
【iPad Pro+Pencilの注意点】
・結構充電に時間が掛かる。
ちょっとやそっと充電してもなかなかバッテリー増えません。
ペンの充電はあっという間に終わる
・あくまでiOSデバイスであってWindows機のようには使えない(旧資産があっても引き継ぎにくいかもしれない/ファイルの扱いが PCとはかなり違う)
・切り捨てが早いことに定評のあるAppleの製品であること(サポート怪しい)
・お絵かきソフトについてもOSアップデートの度に何か問題が起こる、とかデベロッパが飽きて放置される、とかいうことになる可能性は常にある。
絵描き仕事専門で使うほどの信頼性があるかどうか
【CintiqCompanion2(または1)の良い点】
・あくまで結構処理性能の高いWindowsPCであること
・CintiqCompanion2は外部液タブとして使える
・可搬性はある。
ちょっと重いけど
・OS/ソフトともにサポートは比較的安心できる
・Windows操作には役に立つ補助ボタンがたくさんついてる
【CintiqCompanion2(または1)の注意点】
・PCなので、初めての人が「絵描くぞーっ」って購入したあと、とっつきにくくて必ずつまづく
・ちょっとお高い感がある
・Windowsであること。
Windowsであること。
・残念ながらiPad Pro+Pencilに比べると、ペン/デジタイザ性能が著しく悪い
と言う感じでしょうか。
CintiqCompanionは先駆者であり、自分も大変お世話になったのでこのままでは済まさないぞ!というワコムの意地を見せてもらえることに期待したい。
上にも書きましたがアップル系統の過去製品の切り捨てはあっけないので、iPad+Pencilがいかに良くとも製品寿命的に今後どうなるかアヤシイというのもあるし……ワコムがんばれ。
……でも、Windowsはそろそろ勘弁かなぁ……夜中に作業してたらWindowsアップデートが勝手にかかって自動で強制再起動(Windows10では基本、アップデートは強制)→データ死亡、を何度やられたことか。
こんな意味不明な仕様にしてしまうOS、もういらない。